相続対策には生命保険を活用しよう!FPがメリットを解説

相続対策として生命保険を活用することで、相続税の軽減やスムーズな遺産分割につなが
ります。
効率的な相続に役立つ生命保険のメリットをFPが解説していきます。

相続対策はなぜ必要?

相続で「争族」になるのを防ぐため

相続で一族が揉めてしまうことを、争族(そうぞく)といいます。

「うちは家族仲がいいから大丈夫」「そんなに多くの遺産がないから大丈夫」と思ってい
ても、相続対策をないがしろにしていると本人が亡くなった後に一族が争ってしまうケー
スは少なくありません。

また、遺産額が少ないからといって争族が起こらないというわけではありません。

司法統計『遺産分割事件のうち許容・調停成立件数(令和2年)』を見ると、不動産や現金
を含めた総遺産額が1,000万円以下の事件件数割合が34.7%、5,000万円以下の事件件数割
合が42.9%となっています。

「相続で争族」は全ての人にとって他人事ではないのです。
家族がこれからも仲良く暮らせるために、相続対策は必ずしておきたいですね。

少しでも多くの財産を遺すため

相続財産が一定額を超えると、相続税を納める必要があります。

相続税の基礎控除額は『3,000万円+(600万円×法定相続人の数)』で、これを超えると
申告が必要になります。

夫婦のどちらかが亡くなった場合には配偶者控除で相続税がほとんどかからない場合もあ
ります。しかし、その後の夫婦どちらも亡くなった場合の二次相続で相続税が多額になる
可能性が高いです。

特に、都心部に土地や物件を所有している場合は要注意。
評価額の高い不動産が相続財産に入っていたために相続税が高額になり、相続税を支払う
ために不動産を売って退去しなければいけなくなったケースもあります。

相続の際にかかる相続税を軽減し、少しでも多くの財産を渡せるようにするためにも相続
対策には真剣に取り組みましょう。

生命保険を相続対策に活用するメリット

相続対策との相性が良いのが、生命保険です。
生命保険を相続に活用した際のメリットを6つ紹介していきます。

1.生命保険金の非課税枠を使える

生命保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象です。

しかし、死亡保険金の受取人が法定相続人の場合『500万円×法定相続人の数』までの保険
金は非課税
になります。

例えば、父・母・息子・娘の4人家族で父が亡くなった場合、法定相続人は母・息子・娘
の3人となるので死亡保険金のうち1,500万円までは相続税がかかりません。

預貯金などの現金で相続するよりも、保険金にしておいたほうが税法上お得ですね。

2.渡したい人を指定できる

死亡保険金は、受取人をあらかじめ指定する必要があります。
支払事由(被保険者の死亡)が発生すれば必ず受取人に保険金が支払われますので、資産
を渡したい人に確実に届けることができます。

3.代償分割に活用できる

代償分割とは、分割しにくい遺産を相続した際に有効な遺産分割方法の一つです。
例えば被相続人と同居していた相続人がその家を相続する場合、その代わりに他の相続人
に対して一定の代償財産を渡すという分割方法です。

相続財産の代わりに渡す代償財産は現金であることが多いのですが、すぐにまとまった現
金を用意するのは難しい人もいます。

分割しにくい財産(不動産など)がある場合は、その財産を相続する予定の相続人を受取
人とした生命保険に加入しておきましょう。相続の際には他の相続人にその保険金を原資
として代償財産を渡せるので、スムーズに遺産分割することができます。

4.相続税の納税資金に活用できる

相続財産が預貯金などの現金やすぐに換金できる財産だけであれば問題ないのですが、土
地や建物などの不動産の場合、相続税を用意できず困ってしまうケースも多いです。

そこで便利なのが、被相続人の死後に現金としてすぐに受取人に届けられる死亡保険金。
生命保険金の受取人を相続人にしておけば、相続税の納税資金として使えます。

5.相続放棄しても保険金は受け取れる

遺産の中にプラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多かった場合、相続放棄という選
択をすることもあります。

実は、相続放棄した相続人でも、生命保険の受取人になっていた場合は死亡保険金を受け
取ることができます。

6.資産を増やして遺せる

相続対策に活用できる終身保険の中には、保険料として支払った額よりも遺族に届く保険
金の額の方が大きい商品もあります。

まとまった資金があれば、健康状態に関係なく加入できる一時払い(一括で保険料を払い
込むタイプ)の生命保険に加入することもできます。

FPに相談して「争族」なき相続を

相続では、家族がずっと仲良くいられるように財産を遺していく側が事前に対策をしておくことが非常に大切です。

相続対策では、FPに相談するのがコツ。専門家のアドバイスをしっかりと活かして正しく
相続対策をしましょう。