独身に合っている生命保険とは?FPがおすすめの保険を解説
独身の方にとって生命保険は身近に感じづらいものですよね。「そもそも生命保険に入る必要があるの?」という疑問もあってなかなか行動に移せないこともあります。
独身の方が備えておくべきリスクと、生命保険を選ぶ時のポイントについてFPが解説していきます。
独身の方が備えておくべきリスクとは?
①病気やケガで入院したときの負担
独身・既婚問わず、病気やケガで入院するリスクは全員に必ずついてくるものです。
独身の方は、日々の暮らしではひとり気ままに過ごせていいものですが、入院や手術などの緊急事態には自分で対処していかなければなりません。
まず、実際に病気やケガで入院することになったら、どれくらいの医療費負担があるのかを把握しておきましょう。
実は、公的医療保険適用の医療費については莫大な自己負担がかかるということはありません。なぜなら、日本には高額療養費制度という医療費の助成制度があるためです。
高額医療費制度では収入によってひと月の医療費の自己負担額の上限が決まっており、例えば年収約370~約770万円の方ならひと月の自己負担の上限額は「80,100円+(医療費―267,000)×1%」です。
具体的には、年収約370~約770万円の方でひと月100万円の医療費がかかった場合の自己負担額は87,430円で済みます。
しかし、医療費の中には公的医療保険の適用外となり高額医療費制度で助成されない負担もあります。個室などに入院したときの差額ベッド代や入院中の食事代、突然の入院によりパジャマやタオルをレンタル・購入した際の費用は、公的医療保険の適用外です。
これらは全て自己負担しなければいけないため、医療保険で備えておくとお金のことを気にしないでいいという安心感が生まれますね。
②先進医療を受けるときの莫大な負担
医療費で注意しておきたいのが、先進医療です。
先進医療の技術費は公的医療保険の適用とならないため、先進医療の治療を受ける場合は全額自己負担です。高額療養費制度も使えません。
例えば、ガンで重粒子線治療や陽子線治療を受けた場合、一回の治療で250万円~300万円強の治療費がかかります。
病気になって医師から治療法を提示されたとき、自己負担の先進医療か公的医療保険適用なのかで選択肢を狭めるのは切ないですよね。保険会社が先進医療の技術費を代わりに負担してくれる「先進医療特約」のついた医療保険で備えておくのがおすすめです。
③ガンになってしまったときの負担
一生のうち、二人に一人がかかるといわれているガン。ガンになると、お金の心配はもちろんですが精神的な負担は非常に大きなものです。
ガンの治療期間は副作用などで働けなくなるリスクもあるため、保険で備えておくと精神的な支えになります。
ガン保険は、ガンと診断されたりガンの治療を始めると百万円~数百万円単位で大きな給付金がおりるものが一般的です。中には、再発や転移を繰り返す場合でも毎年給付金がおりるガン保険もあります。
また、近年は通院で放射線治療や抗がん剤治療などを受ける方が多いので、通院に関する保障もあると安心ですね。
④働けなくなったときの生活費
病気やケガをした場合は、医療費の他にも経済的な負担がのしかかる可能性があります。それは、働けなくなってしまうリスクです。
会社員で健康保険の被保険者の方なら、病気などで4日以上連続して休んだときは傷病手当が受けられます。しかし、給付されるのはそれまでの給料の2/3程度かつ最長1年半という期限付きなので、生活費としては心もとないですよね。
治療・療養期間が長引き、働けない期間が長く続けば収入は大幅に減ってしまいます。病気やケガで働けなくなってしまったときの生活費として十分な貯蓄をしておくとともに、必要があれば保険で備えることも考えましょう。
⑤死亡・高度障害のリスク
独身の方で「扶養親族がいる」「養育費を支払っている」といったような事情がない場合は、大きな死亡保障は必要ありません。
自分に死亡保障が必要かどうかは「自分が亡くなって経済的に困る人はいるか?」と考えて判断しましょう。
経済的に守るべき人がいない場合でも、一人前の大人として亡くなったときの葬式費用くらいの保障(150~300万円程度)は準備しておくとよいでしょう。
独身の方におすすめの保険
医療保険
病気やケガになったときの負担に備えて、医療保険には加入しておくのがおすすめです。
保障期間は、期間が決まっているタイプか終身タイプで迷いがちです。「働いている期間だけの保障でいいかな」と考える方が多いのですが、老後の方が入院・手術の確率は高くなるので終身の保障にしておくのがおすすめです。
払込期間は、60歳払や65歳払のように払いきれるタイプと、終身払といって一生払い続けていくタイプがあります。終身払は月々の保険料が安くて魅力的に見えますが、保険を続けている限り寿命まで払い続ける必要があるので、老後の経済的負担になります。また終身払には、老後に認知症などで銀行口座の管理が困難になって保険料が引き落とされず失効してしまうというリスクもあります。これらの理由から、元気な現役のうちに保険料を払い終えられる形(60歳払や65歳払など)にするのがベストです。
保障内容では、高額療養費制度をふまえてあまり高すぎない入院日額(5,000円~10,000/日)がコスパよく備えられます。
全額自己負担の先進医療を受ける場合に備えて、先進医療特約は付けておくと安心です。
ガン保険
ガンが心配な方は、ガンに特化した保障のガン保険にも加入しておくとよいでしょう。
ガンは再発や転移を繰り返し、治療が何年にもわたって長引くケースも少なくありません。
そのため、給付金を一回きり受け取って終わりの保険ではなく、治療を続けている限り毎月ないし毎年給付金が出る保険や、再発・転移の場合でも給付金が出る保険だと安心です。
保障期間と払込期間は、前項【医療保険】と同様の理由で『保障期間:終身』『払込期間:現役のうちに払いきれるもの』がおすすめです。
貯蓄・運用型の保険
死亡保障を備えられる保険には、大きく分けて掛け捨ての保険と貯蓄性のある保険の2種類があります。
掛け捨ての保険は少ない保険料で大きな保障を備えられるという特徴があります。
貯蓄性のある保険は死亡保障を持ちながら貯蓄ができるという特徴があり、中には運用性の高い商品もあります。
独身の方の大半はそこまで大きな死亡保障は必要ないので、貯蓄や運用も同時にできる保険がおすすめです。今後結婚したり子どもが生まれたりして『経済的に守るべきもの』ができたら、自分に必要な保障を見直して掛け捨ての保険も考えるとよいでしょう。
独身の方も保険は真剣に考えよう
「独身だからなんとなく選んだ保険でいいや」という考えでは、合っていない保険を選ぶことにつながりお金の無駄遣いとなってしまうこともあります。
保険は自分のライフプランに寄り添って選ぶことが重要です。プロのFPに相談しながら、じっくり真剣に検討しましょう